潰談―新・闇の声 (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)伊藤潤二のホラー漫画。
闇の声の続編的な位置づけになっているが、ほとんどはやはり独立した単独のエピソードになっている。
ただ、全7編のエピソードのうち2つほど、前作『闇の声』のエピソードと直接的に話の繋がりと関連性のある話が収録されている。
「お化け屋敷の謎」のエピソードの話の続きで、前作で登場したお化け屋敷経営者の男双一の家族についてと少年時代が描かれている。快活で模範的な兄と対照的に根暗でひねくれた弟が家族を呪いによって奴隷扱いし、お化け屋敷を経営するというもので、引きこもりや家庭内暴力のメタファーを用いたホラーになっている。出来のいい兄との対照的な見せ方が露骨で、コンプレックスに対する共感も誘っている。
個人的に好きだったエピソードは、「幽霊になりたくない」で、背後霊を食べる少女と不倫関係になった男が少女によって背後霊を食べられていくうちに、運に見放されていくという話。因果応報の話の構成は、やはり面白い。背後霊を食べるというアイディアもさることながら、背後霊が如何に重要な存在として我々を守っているかという前提も考えさせられるものがあって怖かった。