伊藤潤二恐怖マンガCollection (4)伊藤潤二のホラー漫画。
今回も6編の傑作漫画が収録されている。
人間社会とその中での感情のやり取りを風刺した身近に潜んでそうな闇がうまく演出されているところが作者らしく、また、全体的にシュールで、救いようのない結末になっている。どれも質が高い。
表題作の『顔泥棒』は、近くにいる人の影響を受けてその人そっくりに顔が変わってしまう少女の話で、少女に付き纏われ、振り回される周囲の人間達の視点から、その奇異な体質と奇行に対しての恐怖が紡がれている。
しかし、彼女も好きでその体質になったわけではなく、人より他人の影響を受けやすいのならば、美しくて良いものから影響を受けたいという思いからの付き纏いの行動だった。彼女は最後にはその体質を逆手に取られる。仮面ライダーなどのお面をかぶった者達に取り囲まれて、醜い顔に成り果ててしまう。