伊藤潤二恐怖マンガCollection (5)今回の恐怖マンガCollectionは不気味な少年の双一というキャラクターが登場する作品がシリーズとして収録されている。これを読んで、
闇の声と
新・闇の声に収録されていた双一が出てくるエピソードはシリーズものとしての実績があったのか、と心得た。
双一は不気味な見た目そのままに性格もひねくれており、呪いなどの超能力を使って様々なハプニングを引き起こし、周囲の人間に災いをもたらすのだが、自分の感情の赴くままに行動しているという少年らしい無邪気なところがある。
また、向けられた愛情に対してはひねくれながらも喜ぶかわいらしさを見せるシーンもある。おかしな祖母にかわいがられて育ったことでおかしくなってしまったという説明がされているエピソードがあるが、家庭環境は至って平凡で、親にとっては大事な子どもの一人として育てられているので、
富江にあったような緊迫感や悲壮感がなく、常にどこかコミカルな感じがあるのがこのシリーズの作品の特徴に感じた。
孤独を好むが他人の事は気になる性格。インドアな田舎の少年のコンプレックスなどのオーバーな感情表現は「男の子」の難しさをうまくカリカチュアしていて、可笑しみがある。