伊藤潤二恐怖マンガCollection (3)伊藤潤二のホラー漫画。
[1]と
[2]では富江をテーマにしたエピソードが収録されていたが、今回は特に定められたテーマはなく、様々な恐怖のエピソードが収録されている。ただ、それでも富江にあったような美と美への執着に翻弄されるエピソードが多いという印象はあり、[1]と[2]で富江を読んだ後に、同じノリですんなり入っていけるものに配慮されていると感じた。
話はどれも凝っていて、著者のストーリーテラーとしての確かな才能を感じさせてくれる高いレベルのものばかりで、面白い。
表題作の『肉食の怪』は、異常な美的感覚を持つ女が子どもにもそれを押し付けて虐待していたという話で、なかなかハードでビジュアル的にもストーリー的にもグロテスクでインパクトの大きいものになっている。
その他、首のない石膏像達が自分に首をつけるために人間の首を切り落とし、石膏像同士で争っているエピソードや、彼氏のために伸ばした髪を別れをきっかけに切ろうとしたら意志を持った髪に殺されてしまうというエピソードなど、人間の美、パーツへのこだわりを、ぞっとするような恐怖として巧みに描写しているものが収録されている。