土用の丑の日。いまだに体調がすぐれない槍水を置いて佐藤はスーパーへと向かっていく。著莪は二階堂から「オルトロス」がなぜ半額弁当争奪戦から手を引いていたのかを聞き、スーパーへ向かう。そして「オルトロス」の沢桔姉妹とその天敵である「ヘラクレスの棍棒」もスーパーへと向かう。狼たちそれぞれの思いをのせて半額になった「国産うなぎ弁当」をかけて戦いの火蓋が落とされる。いよいよ、ベン・トー最終話。土用の丑の日にスーパーでうなぎ弁当をかけて狼達が争う。
オルトロスとの決戦でもあるのだが、オルトロスの目の前に天敵であるヘラクレスの棍棒が現れ、対オルトロス用の策を披露する。それは、オルトロスとは争わず、彼女たちには好きな弁当を取らせて、その後で自分たちだけで戦おうという狼同士の示し合わせだった。
狼として戦うことをさせてもらえず、自分達の存在を打ち砕かれたオルトロス。
これは、ダンドーと猟犬郡のエピソードを伏線として利用した仕掛けであり、この作品では、狼として取った半額弁当こそが「食事」であり、戦いがないところには「生」がないという比喩的な設定の物語であるのが前提になっているのだが、テーマまで丸々と既にダンドーと猟犬郡でやったものをまた引っ張りだして使いまわしているだけに、結果的には、佐藤と槍水のコンビとオルトロスとの対決に水が差された格好になっていて、不完全燃焼の終わり方になってしまったのが残念だった。
この作品は、設定はとてもユニークで面白かったし、フレーズなどにもセンスを感じさせたのだけど、熱く盛り上げておいて、いいところで描写を雑にして一気に熱を冷まして味わいを淡白にしてしまうという繰り返しだったのが惜しい。その時その時で安直にお色気やキャラに頼ってばかりで、物語に背景と深みを感じさせず、これから面白くなるはずなのにというところで、既に作中の空気からは息切れしているのを感じてしまったのが辛かった。
それでも、またいつか、狼たちの咆哮が上がることを期待してます!