伊藤潤二恐怖マンガCollection (2)伊藤潤二のホラー漫画。
富江のPart2ということで、
恐怖マンガCollection[1]の続編的な位置づけになっており、収録されているエピソードはすべて富江が題材にされている。Part1が登場人物を共通させた続き物の話のタイプであるのに対して、Part2の今作は独立したエピソードの連作によって富江の様々な表情を追っている。
大胆な切り口や奇抜な発想などはPart1と同じだが、本作ではより富江という存在に迫っていて、科学的要素を付加させたSF的な趣向、富江同士の自分という存在証明をかけた殺し合いなどが面白い。
今まではなんとなく、富江という存在が我儘に振る舞い、男をたぶらかし、やがて男が富江という美貌に狂っていき、独り占めするために殺すというプロットにおどろおどろしいものは感じたが、あまりに富江の魔性が凄すぎて男側が霞み、彼らには下心への批判すら成り立たない、不可抗力でしかないので、男女の駆け引きに迫力を欠いているなと思っていた。
だが、本作では富江自身への追及がテーマにされており、彼女自身、極端な美と醜の両面を併せ持ち、男を惹きつけ、男に殺されることを余儀なくされる運命にあり、また、彼女は同じ「富江」との間で生存競争を繰り広げないといけないという「女性」という生き方のメタファーを強烈にグロテスクに体現した存在になっていて、凄みがある。