伊藤潤二恐怖マンガCollection (16) フランケンシュタイン『フランケンシュタイン』『地獄の人形葬』『リアルウンコノオモイデ』の3編が収録されている。
『フランケンシュタイン』は、意外とその内容を知られていない『フランケンシュタイン』を基本的には原作に忠実に漫画化しながらも、ところどころに伊藤潤二流のアレンジを加えたものになっている。醜い容貌によって人間に迫害された人造人間と創造主(神になった人間)とのやりとりが明確なメッセージ性を発しながら描かれていた。女性へ幻想と現実とのギャップを残酷に見せつけて、人造人間をより怪物化させていくところは著者らしくて良かった。聖者も怪物も生まれるものではなく、作られるものである。というような作品。
『地獄の人形葬』は、世界の子どもの30%が人形化してしまう世界の話で、親は子どもが人形になっても我が子を大事にしようとするが、その人形がやがておぞましい異形の姿になっていき、とうとう葬ることを決めるというオチになっている。親あるいは近代社会によって管理された子どもの姿を人形に喩えて風刺したような作品。
『リアルウンコノオモイデ』は、とぐろを巻いた如何にもなおもちゃうんこではなく、一本糞が2つ重なったタイプのリアルな形をしたウンコのおもちゃに興味を示す少年の話で、少年が恥ずかしい思いをしながらも勇気を振り絞ってそのおもちゃを買い、それを使っていたずらなどをするが、時とともにそのおもちゃはどこかへいき、ウンコですらも懐かしい思い出になっていくという話。
『地獄の人形葬』と『リアルウンコノオモイデ』は数ページほどの作品で、ページのほとんどが『フランケンシュタイン』で占められて構成されている一冊だった。